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愛別岳

「富士山に登って山岳の高さを語れ、大雪山に登って山岳の広さを語れ」

大正時代の歌人である大町桂月が現在の層雲峡から天人峡まで縦走して(1921年8月)から100年の時が経つ。この名言は大雪山の名を一気に全国に知らしめた。

当時は登山道もなく、黒岳沢から沢を登り桂月岳に登頂したという。

当時の装備や足元であの連続する滝を超え、宿泊装備を担ぎ上げ、桂月らをサポートしたのはもちろん当時の案内人、ガイドであったのは言うまでもない。

(以上は8月14日北海道新聞 黒川記者の執筆を参考)

まだ星空が瞬く3:30に起きて朝食を済ませ、夜が明けた4:30に黒岳小屋を出発。

愛山渓温泉までは標準タイム10時間の長丁場だ。北海道第2位の高峰北鎮岳(2245m)の登りにかかると黒岳をはじめ、あたりの山々がまさに層雲に包まれだす。オホーツク海高気圧が北海道を覆うと山上では気温の逆転現象が起こり雲海の上に山頂達が取り残される。本州を横断するように横たわる停滞前線は九州、広島、長野などに豪雨災害をもたらしているが北海道だけは他人事のように良い天気が続いている。ただ先週まで続いた30度を超える猛暑はなりを潜め、朝の気温は5℃を下回る涼しさだ。あと1か月もすれば初雪が訪れる。季節は大雪山から秋が始まっていくのだ。

比布岳を過ぎて5分も歩くと愛別岳の標識があり、ここからやせた急なガレ尾根を下って行く。2019年10月には滑落死亡事故も起こっている急な下りだ。岩場が苦手という2人には準備してきた簡易ハーネスにロープをセットしてショートロープで下ることにした。最低コルからの登りも急で恐ろし気な岩場に見えるがこちらはルートを良く選んで行くと意外とあっさり広い頂上に到達する。

 

「天下に山岳多けれども、頂上の広くして大いなることに於いて、大雪山独り傑出する。」大町桂月は未踏の愛別岳ではあるがこの頂上も然り。

 

再び往路を引き返し、縦走路を永山岳経由で愛山渓へ下る。

登山道には大きな岩が多く歩きづらくて好きになれないルートだ。

村雨の滝ルートも2018年の死亡事故で現在は通行止め。

沼の平分岐まで登り返して9時間30分で愛山渓温泉着。

下山口に回送しておいた車に汚れ物を放りこんでそのままお風呂直行できるのが

ここの魅力だ。

 

愛山渓ドライブインで名物の舞茸ラーメンを食べたかったが、14:30で営業終了のため札幌へ直帰。

大雪山、大いなること他になし!